「僕たちのリメイク」アニメ感想 ~クリエイティブ業界のディレクターについて~

アニメ「僕たちのリメイク」を視聴しました。

原作のシナリオが木緒なちさんとのことで、あの有名な美少女ゲーム

グリザイアの果実

蒼の彼方のフォーリズム

のシナリオを担当された方です。

何より、SF四季シリーズのディレクターを務めていたという記憶があり、

そんな有名な(私の中で)クリエイターが脚本のアニメが

アマプラで見られることを知って、視聴してみました。

 

話は最近ありがちなタイムリープして人生やり直すやつ。

キャラはかわいかったし、クリエイターという人種にスポットを当てたシナリオは

とても新鮮で面白かったと思います。

ちょっと主人公の問題解決能力が高すぎて、

ご都合主義的展開が多かったようにもとれるけど。

しかもこれからが面白くなる展開っぽかったのに、

アニメでは途中までしか描かれていないのが残念でした。

 

視聴後アマゾンのレビューを見てみたら、なんと星2.5ぐらいでびっくりしました。

「そんなに悪かったか???」と疑問に思ったのですが、

そのレビューについてちょっと思うところがあったので書いてみます。

 

主人公についての批判

作品をつくるのには「誰と作るか」ではなく、「何を作るか」が大事。

そんな心意気が主人公から感じられない、というレビューがありました。

 

私はこのレビューについて、とても考えさせられました。

 

確かに主人公が「何かを作りたい」という描写は足りなかったように感じますが、

「誰かとすごい作品を作りたい」という気持ちはそんなに悪いことでしょうか。

 

こんなことを考えてみたことはないでしょうか。

シナリオはこの人に書いてもらって、イラストはこの人。OPはあの人に歌って貰って、

というような「僕の考えた最強のゲーム」を作ってみたい・・・

そこに自分が関わることができたらどんなに幸せであろうか、と。

私はよくこんなことを考えるので、とても共感します。

 

多分主人公(木緒さんも?)の根底にあるのは、このような考え方だと思うんです。

自分が面白いシナリオを作りたいとか、絵を描きたい、ではない。

主人公は根っからの「ディレクター」気質なのです。

 

この考え方が多分、このアニメを見た人に受け入れられなかったのだと思います。

忘れたくないのは、ディレクターだって「クリエイター」の一員であること。

全体の制作指揮をとることだって並の人間にできることではないでしょう。

幅広い知識や技術が要求されるはずです。(作中でもヒロインが言ってた気がする)

そんな大変な仕事をする人が、作品に対する熱意がない訳がないです。

ただ、主人公の「作品を作りたい」という描写があまりなかったため、

他人任せの主体性の欠けた人物であると伝わってしまったのかなと思います。

 

現実ではスポットの当たらない、いわば「報われない」役割のディレクターに

焦点を当てたのがこの物語です。

クリエイター業界人にしか書けない物語だと思うので、

私としては一定の価値(面白さ)がある作品だと評価します。